2026-11-07 · 8 分で読めます
ジェルポリッシュ工場への支払い:T/T、L/C、そして手付金の落とし穴
提示される4つの支払いスキーム、手付金が実際に何に充てられるのか、Incotermsが着荷原価をどう変えるのか、そして経験豊富なバイヤーも引っかかる口座情報の詐欺について。
結論から言うと:標準的なのは、50%をT/Tで手付金として支払い、残り50%を船荷証券(B/L)と引き換えに支払う形です。銀行手数料に見合う規模の注文では一覧払信用状(L/C at sight)、初回の試験発注ではプラットフォームのエスクローが適します。避けるべきは、監査していない工場へ100%を前払いすること、そして会社名と口座名義が一致しない口座へ送金することです。
提示される4つの支払いスキーム
| スキーム | 仕組み | リスクを負う側 | 適する場面 |
|---|---|---|---|
| 生産前に100% T/T | 全額支払い後、工場が原料を調達する | ほぼすべてバイヤー | 監査と、その工場でのサンプル承認を終えた場合のみ |
| 手付金50%、B/L写しと引き換えに50% | 手付金で生産を開始し、残金で書類を解放する | 分担 | 初回注文の多くに適用。当社が提示する標準条件 |
| 一覧払信用状(L/C at sight) | 適合する書類に対して銀行が支払う | 銀行。ただし書類の不一致はバイヤー負担 | L/C手数料が取引額に対して小さい注文 |
| プラットフォームのエスクロー | 出荷確認まで資金を預託する | プラットフォームの規則による | 面識のないサプライヤーとの小口試験発注 |
手付金は実際に何に充てられるのか
50%の手付金は好意的なものではありません。生産開始前に顔料と包材を購入し、生産ラインの枠を確保するための資金です。別注色、印刷済み外箱、PBボトルはいずれもあなたの注文に紐づけて発注されるため、材料購入後の手付金は通常返金されません。また、カスタム度が高いほど手付金の比率が上がる傾向があります。重要なのは比率ではなく、その手付金が何を担保するかです。全数出荷まで何も動かない手付金や、書類発行前に残金を求められる条件こそが、実際のリスクです。
経験豊富なバイヤーも引っかかる口座情報の詐欺
- 担当者「から」のメールで口座情報が変わったと連絡が来る。口座変更は、証明されるまで詐欺として扱う。
- 新しいメールに書かれた番号ではなく、以前から把握している番号に電話し、口座情報を読み上げて確認する。
- 口座名義は契約書および請求書の会社名と一致している必要がある。個人名義や第三者の貿易会社名義は危険信号。
- SWIFT/BICは、送られてきたPDFではなく、銀行が公表しているリストで照合する。
- 金額、通貨、口座、そして変更は署名された修正書によってのみ行う旨を契約書に明記する。
Incotermsは単価以上にコストを動かす
| 条件 | 売り手の負担範囲 | リスクの移転地点 |
|---|---|---|
| EXW | 工場で貨物を引き渡せる状態にするところまで | 工場の門。輸出通関もバイヤー手配 |
| FOB | 輸出通関と指定港への搬入 | 本船積み込み時 |
| CIF | 仕向港までの運賃と保険 | 依然として積出港。保険はバイヤーの利益のためで、管理権は移らない |
| DDP | 輸入関税と配送を含むすべて | 貴社の納品先。だからDDPの見積は高く見える |
安いFOB価格と高いDDP価格が、同じ商品を指していることもあります。見積書の価格ではなく、自社倉庫に届くまでの着荷原価で比較し、運送手配をどちらが行うかを明確にしてください。工場が手配する場合、選ぶのは最速ではなく最安のルートです。
残金支払いと同時に受け取るべき書類
- プロフォーマではなく、実際の外箱と一致する商業送り状とパッキングリスト。
- 船荷証券または航空貨物運送状。荷受人(consignee)は通関業者が想定する表記と完全に一致させる。
- 市場が特恵関税を適用する場合は原産地証明書。
- SDS。第14項に輸送方法が示されているため必ず取得する。詳細は当社の輸出書類チェックリストを参照。
- CIF条件の場合は保険証券。破損して到着した場合は検数報告書(survey report)の写し。
譲らずに明記すべき契約条件
- 色味と充填量の許容範囲を数値で。第2バッチが承認サンプルからどこまで外れたら不良とするか。
- 特定のランプでの硬化検証。「30秒で硬化」を検証可能な約束にする。
- 納期遅延は、期日・猶予期間・補償を定める。「努力します」では不十分。
- 不良時の対応:交換・値引き・返金のいずれか、および往復運賃の負担者。
- 準拠法と仲裁地を、紛争の発生前に合意しておく。
- ブランド資産、版下、金型の所有権を書面で明記する。
手付金を送る前に、7項目のサプライヤーチェックを実行し、MOQとサンプル費用の解説もお読みください。比較する数値の前提を揃えるためです。